副院長の角田真太郎です。
皆さんは歯の神経の治療を受けたことがありますか?
歯の神経の治療(根管治療)は歯内療法と呼ばれる学問で、学会も存在し専門医もいます。
私は、もともと治療の中では根管治療が好きで学会にも所属しておりますが今回はこの根管治療に焦点を当ててお話しようと思います。
まずは皆さん歯の治療に成功率があるって知っていましたか?
成功の定義は論文などで違いがありますが根管治療の場合は根っこの先端に膿が貯まる根尖病変と呼ばれる状態になると治療の失敗と考えます。
アメリカの歯内療法専門医の根管治療の成功率は次の写真の通りです。
思ったより低くないですか?
条件が良くても10人に1人は失敗があります。
条件が悪いと40%しか助かりません。
次に治療費用を見てみるとアメリカでは大体15万円から30万円の間くらいのようです。
なので、40%の成功率の治療にそれだけお金払いますか?ってなるわけですね。
抜歯してインプラントでも同じくらいの金額で出来ることもあるので、成功率を考えるとインプラントを選択される方が多いようです。
では、日本ではどうでしょうか?
根管治療の成功を左右する要因として大きく取り上げられるのが次の3つです。
①CTによる診断
②ラバーダム防湿の使用
③マイクロスコープの使用
です。
①に関しては、高額の機材の為設置してある病院としてない病院があります。
診断出来ないと成功率がわかりません。
②に関しては、日本歯内療法学会のデーターでは専門医でも25%しか常に使用していないようです。
③に関しても設置していない病院としている病院があります。
また、設置していても使いこなせているかは別になります。
まずは、この3つが揃っている前提で先程の成功率を見てください。
日本でこの条件が揃っている病院を探す方が患者さんにとって難しいかもしれません。
仮に揃っていても失敗は付き纏います。
次に、日本の根管治療の費用です。
CT撮影や歯の部位にもよりますが、最大にかかっても1万5千円くらいです。
むしろそれだけかかると患者さんは高いと感じるかもしれません。
結果として、日本の根管治療の成功率は30%以下とも言われており非常に厳しい現実があります。
私の好きな治療が根管治療と言うこともあり、健康保険適応で上記は完全にしますし、他にもニッケルチタンファイルやMTAセメントも利用します。(支払い請求は出来ないので無償で行ってます)
これでは、完全に赤字になりますがそれでもやめるわけにはいきません。
何故なら、これらの条件でないとお約束した成功率に近づくことが出来ないからです。
その為、1人1時間でご予約時間を頂かないとこれらのことは出来ません。
ありがたいお話ですが、当院の根管治療の噂を聞いて遠方から足を運んでくださる患者さんも増えてきました。
しかし、患者さんの中にはこの事情を知らない方もおりキャンセルや変更があることもございます。
本来ならば自由診療で行っても良い内容ですが、そうすると健康保険適応の根管治療と差をつけないといけなくなり治療を受けられる患者さんが限られてしまいます。
こうした事情から当院の根管治療の予約のキャパシティの限界が近づいております。
このままではどこかで治療出来る人と出来ない人の線引きをしなくてはならなくなります。(自由診療にするか、新規患者さんを受付ないか、保険ではマイクロを使用しないなど患者さんにとって不利になる線引き)
少しでも多くの患者さんに治療を提供する為に予約の厳守と予約が取りにくい現状にご理解ください。
最後に
上記の取り組みをされていないからといって絶対に失敗するわけではありません。
また、健康保険の料金ではほとんどの病院でこれらを達成するのは難しい実情です。
これらをしていないのが悪ではなく、出来ないような医療システムが問題なのです。
もし、根管治療に関しましてお話が聞きたい方はまずはカウンセリングから承っておりますのでご連絡ください。